当院における「化学療法食」の立ち上げの取り組み(第一報) (公立大学法人 福島県立医科大学附属病院・500床以上)
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当院における「化学療法食」の立ち上げの取り組み(第一報)
医療機関名 |
公立大学法人 福島県立医科大学附属病院 |
経営主体 |
特定機能病院 |
病床規模 |
500床以上 |
所属部門 |
栄養管理 |
投稿者 |
飛松 聡(栄養管理部)、小林 英二(栄養管理部)、真田 久美子(栄養管理部)、平野 典子(看護部)、佐藤 博亮(糖尿病内分泌代謝内科) |
公開日 |
2015-12-02 |
- 背景
- 化学療法では、副作用として口内炎や味覚異常、臭気異常、嘔吐による食欲不振など多様な症状が起こり、
患者の栄養状態やQOLに大きな影響を与える。
当院では、化学療法による副作用で食事が食べられない患者に対して献立内容を個別に対応しているが、
献立内容の複雑化に伴い、対応に限界がきている。
そこで、化学療法の副作用で食事が食べられない患者が食べたいという意欲が出る「化学療法食」を作製することにした。
- 取り組みの内容
食事アンケートの実施
「化学療法食」を立ち上げるにあたり、現状の食事摂取量や食事に対する要望を吸い上げるため、
化学療法を受けていて長期入院している血液内科の患者を対象に食事に関するアンケートを行った。
(1)対象人数:15名
(2)調査形式:無記名自記式。
(3)アンケート内容:食事の喫食量や味覚の変化や症状が続く期間、食事に対する要望などの項目で、
患者の負担にならないように選択方式とした。
食事アンケートの結果
(1)化学療法中の食事摂取量について
概ね食べられている18.8%、半分以上食べられている25.0%、1/3量は食べられている31.3%、
食べられていない25.0%であり、約6割の患者が半分以下の摂取量であった。
(2)味覚の変化について
変わった35.7%、変わらない14.3%、わからない50.0%であった。
変化の内容としては、酸味が好きになったと答える患者が67%、嫌いになったが0%、変わらないが33%であった。
温度の嗜好については、温かいものが好きになったが17%、温かいものが嫌いになったが0%、
変わらないが33%、冷たいものが好きになったと答える患者が50.0%、冷たいものが嫌いになったが0%であった。
(3)味覚の症状が続く期間について
3日間が14%、1週間が29%、2週間が7%、未回答が50%であった。
積極的な意見として「野菜を多くしてほしい」「さっぱりしたものがほしい」「豆腐が食べたい」「味に変化がほしい」などがあった。
逆に消極的な意見として「炒めものが食べられない」「揚げ物は気持ち悪くなる」などであった。
食事内容の検討
アンケート結果を基に栄養士と調理師で検討を行った。
検討内容は、食事の種類や内容、組み合わせなどを検討し、
今回は特に食欲との関係から、見た目を重視しし、食器や切り方、盛り付け方などを重点的に検討し、下記の食事内容を考えた。
朝:パン、卵豆腐、ジュース
昼:冷そうめん、フルーツ
夕:おにぎり、味噌汁、サラダ、ゼリー
アンケート結果より味覚の症状が続く期間は1週間以内が多かったため、食事の種類は1種類から始めることにした。
工夫した点では、器は透明でさっぱりとしたイメージにし、フルーツやサラダの切り方や盛り付け方は、
それぞれの調理師の感性に切り方を任せることにした。
また、配膳時もふたをするのではなくラップにして、盛り付けが崩れないようにした。
- 取り組み後の状況
考察・課題
アンケート結果より、「脂っこいものや炒め物は、臭いの関係から食べられない」
「さっぱりしたものや冷たいものはのどに通りやすくて食べやすい」ということが考えられる。
課題としては、短期的な摂取を想定していたため、食事の摂取期間や栄養状態を評価する必要がある。
また、1日固定の食事内容で飽きがこないかを検討する必要がある。
食事アンケート調査の結果を基に作製した「化学療法食」は、盛り付け方や切り方にも工夫をしたことで、
内容的・視覚的にも食欲増進を期待できることが示唆され、患者が食べたいという意欲が出る食事を作製できたと考えられる。
今後は食事摂取期間や食事内容を改善していき、進化しつづける「化学療法食」にしていきたい。
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