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支出削減の取り組み (邑楽館林医療事務組合 公立館林厚生病院・300-500床未満)

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医療機関名 邑楽館林医療事務組合 公立館林厚生病院
経営主体 公的病院
病床規模 300-500床未満
所属部門 経営企画
投稿者 笠原 大輔(経営企画課用度施設係 主任)
公開日 2018-10-16
背景
公立館林厚生病院の概要
●所在地
〒374-8533 群馬県館林市成島町262番地の1
●病床数
329床(一般病床: 323床、感染病床:6床)
●診療科目
内科、精神科、循環器内科、内分泌糖尿病内科、アレルギー呼吸器科、 小児科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、呼吸器外科、 心臓血管外科、消化器外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、 耳鼻咽喉科、麻酔科、リハビリテーション科、放射線診断科、 放射線治療科、歯科、歯科口腔外科 (24科)

公立館林厚生病院は、近隣6市町(館林市・板倉町・明和町・千代田町・大泉町・邑楽町)により邑楽館林医療事務組合を設置主体とする、地域唯一の公的総合病院です。
地域の中核病院としての役割を果たすとともに、当病院の理念である「信頼、安心 すべては、患者さんのために」を基に、時代の要求である「人にやさしい医療」の提供を行い、各科とも、常に、高度特殊医療を目指した医療の展開を行っています。

診療材料の採用及び価格交渉における課題
当院の診療材料費用は年間5.8億円前後と支出の約10%を占めています。当該費用の削減及び効率化は、病院の安定経営に不可欠であります。

私が用度担当に就いた当初の診療材料の価格交渉については、毎年度の見積もり合わせのみ行われている状態であり、メーカーや業者間の競争が行われているか疑問を感じるところでした。
また、材料の採用については、医療現場に言われるがまま行われており、用度担当者が知らない間に製品が先に納入及び使用され、後から見積書が提出されることすらありました。

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(主な問題点)
・ 新規採用過程が簡易的。同種同効の材料が多数存在。
・ 業者が直接現場医師及び医療スタッフに営業しており、用度担当に情報が入ってこない。
・ 既存材料については年1回の材料単価見積合わせで妥結。
・ 適正価格の情報が不足。
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取り組みの内容
1.採用過程の見直し
課題の改善策として、まずは材料の採用過程の見直しを図りました。

¨¨¨¨【見直し項目】¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
◆医師及び各現場スタッフに「診療材料採用申請書」の用度担当への提出を義務付けることで、材料採用過程の起点を明確にしました。
◆提案業者に対して現場への商品紹介前(最低でも紹介と同時)に用度担当への情報及び見積提出を行うことの徹底を図ることで、現場がサンプリングをしている間に価格交渉を行うという流れが確立できました。
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以上により、早い段階で製品選定について事務が介入することが可能となりました。
2.ベンチマークの活用
採用過程の見直しにより、もれなく用度担当に材料の情報が入るようになったことで、価格交渉についても後手後手に回ることが無くなりました。

申請のあった材料や業者の提案予定の材料について、まずベンチマークシステムでスクリーニングをかけます。

¨¨¨¨【交渉方法】¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
ベンチ判定をもとに納入業者との交渉、ベンチ平均に届かない商品については、納入業者と共にメーカーへ交渉していきます。
また、既存採用品についてもベンチ平均以下の希望価格を載せた見積依頼書を取引業者に配布し、購入金額の大きいメーカーから順次交渉していきます。
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交渉方法の一例
群馬県は卸業者(=納入業者)のK社が県内ほとんどのシェアを手にしており、実際K社に対抗できる同等規模の卸業者がほぼ無い特殊な環境です。
そのため、ベンチマークの平均以下を目標値としてK社に投げることから始め、結果の出ないメーカーを中心に病院と卸業者、メーカーの3者での面談を実施します。

ポイントとなるのが、医師を交渉の場に同席させることです。
医師は常に患者に対する治療に最適な材料を求めます。当然価格が安いだけで使用することはありません。
しかし、納得させられるだけの説明及び結果を示せれば、最も効果的な交渉の武器となってもらえます。

ここで当院においては、預託運用している循環器材料の中の冠動脈ステントの交渉過程を例に上げます。
※循環器材料について預託品管理はG社が行い、K社より納入されます。


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【預託運用している循環器材料の中の冠動脈ステントの交渉過程】

1.MRPベンチマークを用いた見積交渉
卸業者に対してベンチマーク指標に基づいた希望価格を伝え、見積徴収及び価格交渉をしました。(回数は2回程度)

2.メーカー交渉
メーカー担当者を呼びMRPベンチマークを提示したうえで、当院の納入価について説明を求めました。
面談場所は院長室や応接室のような業者が普段入らないような場所を選び、面談には院長、循環器科部長、用度担当者、卸業者の面々で行いました。

卸業者については病院側に着かせることで、メーカーに対して「なぜ当院に納入される材料の卸値がその金額なのか」ということについて、納得できるような説明をするよう求め、再度の見積提出を求めました。

3.医師に対しての交渉
メーカー交渉後の再見積結果をまとめ、循環器の医局において全循環器医師と共にメーカー選定を行いました。
医師に対して、各メーカーの特性及び使用感などをヒアリングして、価格の高いメーカー品は最低限のサイズ以外は置かないこととする一方で、最安値を提示したメーカー品については、各サイズを配置し優先的に使用するよう医師へ協力を仰ぎました。
その結果、その年の前半と後半ではステントのメーカー別使用割合が大きく変化しました。
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取り組み後の状況
取組後の状況
最後に
当院が平成27年10月から導入しているMRPベンチマークシステムは、不透明感の強い診療材料価格における確かな指標として有効であると考えます。自院の購入価格がどの位置にあるのか見えたことで、それまでの業務過程を改善することが出来ました。

また、医師を始めとする院内スタッフに対してもモノの価格を意識してもらえるようになり、現場から「今の採用品より安くて良さそうなものがあるのだが、試してよいか。」「同種同効品を統一するなら協力する。」などの積極的な声をもらえるようになりました。


その一方で、いまだにベンチマーク平均価格以上の製品が半分以上占めている現状があり、責任を感じながら業務を行っております。

よく「群馬県は他県に比べて高い」と言われることがありますが、今以上に利用病院が増え、各県ごとのベンチマークが見られるようになると一層有効な指標として利用できると思います。


※本稿は、平成30年10月15日に自治体病院共済会より発行された「自治共ニュース10月号」に掲載された内容を、医療手帖編集部で再編集したものです。

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