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調達事務職員ができる診療材料のマネジメント (京都大学医学部附属病院・500床以上)

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医療機関名 京都大学医学部附属病院
経営主体 特定機能病院
病床規模 500床以上
所属部門 用度・調達
投稿者 林 寿美子(事務部 経理・調達課物流管理掛長)
公開日 2012-07-27
背景
■診療材料費を削減することになった経緯
 ・国立大学の法人化が平成16年に行われ、当院でも収益性の確保を求められるようになった。(収益の増加と支出の抑制)
 ・当院の経営状況は法人化前から厳しく、法人化1 年目は黒字で持ちこたえたが、2年目からは早くも赤字に転落した。
 ・法人化以前の材料調達は現場が製品を選定し、それぞれで業者に注文していたため、管理もばらばらであった。
 ・材料の価格交渉では業者の方が立場が断然強く、調達事務職員はただ業者の言われるがまま事務処理と支払処理をするだけだった。

 何も管理できていない状況をなんとかしたい、負の仕事(後ろ向きの仕事)をしたくないという強い思いをきっかけに、本格的なコスト削減の取り組みが開始されることとなった。
取り組みの内容
■当院での取り組みと調達事務職員が行った診療材料マネジメントの沿革
1. 材料供給センターの立ち上げと物流管理システム(SPDシステム)の導入
 法人化直前の平成16年2月、材料供給センターの立ち上げと物流管理システム(SPD システム)が導入され、物品管理の方法が見直されることになった。購買管理は「調達事務職員」、物品供給と物品管理は「SPD スタッフ」が行う物品管理業務(役務業務のみ)をアウトソーシングした“院内型SPD”を採用した。
<SPDシステムを導入してまず徹底的に取り組んだこと>
 下記のような取り組みを気がついたところから実施していった。
 1) 全製品のマスター化
 2) 適正な定数管理と購買管理
 3) 医事請求漏れの改善
 4) 在庫削減と不良在庫の削減
 5) 採用品目と同種・同効品の整理 
【取り組みで成功したこと】
 ・材料供給センター立ち上げをきっかけに、業者の襟を正し、購買管理体制を大幅に見直すことができた。
 ・結果的に、SPD システムや業務に対する知識や世の中の状況など何も知らない中で、手探りの状況でも自分たちで取り組んできたことで、業者まかせではなく病院職員主導で適切な運用方法の基盤を作ることができた。
【取り組みで上手くいかなかったこと】最初に運用を「適当」に決めた部分もあり、時間が経って改善したくてもなかなかできないところがある。そういった意味では、最初に運用をきっちり決めて周知と理解を得ることは大切。
【今後SPDを導入する病院様へのアドバイス】
 ・SPD システムによる全商品の購買管理(できれば使用管理まで)は必要不可欠。
 ・大きな病院では、SPD はシステムと役務業務を一体で検討、アウトソーシングは日々の監督が重要。
 ・SPD 業務にはいろいろなスタイルがある。専門誌や他施設の状況を学習し、自身の病院にあった形態を選択することが大事。

2. 材料選定委員会の見直し
 不定期開催で、実質的に事後承認だけの場となっていた委員会を、適切な新規材料を選定する場にするため、下記のようなことを行った。
 1) 新製品の採用手順を整理し、「医療材料取扱要領」を新たに策定した。
 2) 月1回開催するようにしたことでスピーディーな採用と採用品の管理を明確化。
 3) 委員長 材料部長・・・経営担当を副病院長へお願いする。
 4) 材料担当医師 ・・・診療科に1人、材料の調整役のドクターを置いている。最初の2年間は年2回程度、材料担当医師を集めてミーティングを実施
 5) 申請内容については調達事務職員が説明、申請者は委員会に参加せず、異議が出たときのみ、次回の委員会で申請理由を説明。
 6) 調達事務職員から見て、「同等品がある、コストUP になる」など採用する必要がないと判断されるものは、積極的に発言。
 7) 新規材料は目標値に達成するまでは採用を保留。
 ・MRP のベンチマークを使って最初から安値で交渉
 ・ベンチマークのない材料は同償還品や同等品を参考
 8) 近年は、積極的なデータの公表や状況報告を心掛けている。
 現在の課題点としては、OP・カテは未登録品(未採用品)の持込に規制なし、事後の“緊急申請”という処理に留めているので、今後取り組んでいきたい。

3. 価格改善
 平成18年より医療材料の価格交渉を開始して、1年目から2年目ぐらいまでは、年間5%台の値下げを実現できていた。しかし3年目以降は、単純な価格の値下げ交渉だけでは下がらなくなってしまった。よって、平成19 年以降は値下げだけでなく、他社製品への切り替えも含めて交渉を進めていった。具体的には、下記のような方法論をとった。
 2) 現採用品の価格を改善する(平成18年?)
 ベンチマークを用いた価格交渉を実施。現状の当院(国立大学病院)の購入価格は高く、ドクターの協力は得ずに事務職員だけで交渉をおこなった。結果として値引率は平成18年度(下半期のみ)△5.0%、平成19年度△5.4%、平成20年度△2.5%、平成21年度△1.9%、平成22年度△1.5%、平成23年度△1.2%といった具合に。
 2)材料の変更、統一化に着手(平成19年後半から)
 他社製品への切り替え、メーカー・業者の統一化なども含めて検討していくことで、業者・メーカーに対して圧力をかけ、さらなる値下げを要求した。その結果取引が活性化し、ベンチマーク交渉に好影響を与えることになった。

【診療材料の切り替え事例】
 ・ CV カテーテル ・・・Dr からの依頼により、メーカー統一/規格削減を行った
 ・ ブラットアクセスカテーテル・・・材料選定委員会での採用申請をきっかけに、メーカー統一/規格削減を行った。
取り組み後の状況
■大学病院の調達事務担当者としての私の考える、マネジメントの基本
1. ドクターフィーの材料(デバイス)は、「厳選して」できるだけ自由に使わせて医療と患者に貢献する。そのために、1) 材料を知る、2) 高い材料は高いなりに安く購入する、3) メーカーと直接話をする、4) 無駄を出さないために、管理の方法や買い方を工夫する。
2. 一般的な材料は、できるだけ標準化し、規格・品目数も限定・統一する、また、定期的に材料を見直し、安価な材料に切り替える。業者・メーカーからの提案もメリットのあるものは積極的に検討する。そのために、1) 材料を知る 2) とことん競争させる 3) メーカーと直接話をする
 3. 「京都大学病院」のネームバリューを目一杯に使う。
 4. 「材料選定委員会」は調達事務がコントロールし積極的に発言する。
 5. 医療者にさまざまな情報をわかりやすく発信する。

■まとめ
 現在のところ、病院内で“診療材料”を専門とする職種は存在しないので、用度調達の担当者が担当せざるを得ない。外部委託業者に頼る方法もあるが、病院の内情も踏まえてトータル的な「エキスパート」として機能することは難しいので、主体となる病院職員の補助的な「パートナー」として考えるべきである。よって、用度調達の事務職員の“プロの育成”は必要であり、急務といえる。
マスタ管理や材料委員会の見直しなど、明日からでもやれることはあります。課題・問題が山積みだったりいろいろ大変ですが、大切なのは「やる気」です!

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