支出削減の取り組み (地方独立行政法人 長野市民病院・300-500床未満)
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支出削減の取り組み
医療機関名 |
地方独立行政法人 長野市民病院 |
経営主体 |
国公立病院 |
病床規模 |
300-500床未満 |
所属部門 |
用度・調達 |
投稿者 |
宮澤 秀典(企画財務課) |
公開日 |
2017-02-16 |
- 背景
長野市民病院は、長野市北部地域に位置する400床、30診療科の公立病院です。
長野市が開設し、財団法人長野市保健医療公社に管理運営を委託する、いわゆる「公設民営型」の病院として平成7年6月に開院しましたが、平成18年4月からの指定管理者制度の適用を経て、平成28年4月より地方独立行政法人へ移行しました。
当院は、長野医療圏北部の中核病院として、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院などに指定され、がん診療をはじめ、心疾患・脳血管疾患・糖尿病などの生活習慣病の診療を中心とした高度専門医療に注力しているほか、365日24時間救急医療を提供し、積極的に救急搬送患者の受入れを行っています。
MRPベンチマークシステムの必要性(導入経緯)
当院では、もともと他社のベンチマークシステムを利用し価格交渉を行っていましたが、データ量が少ないことや、更新がなかなかされず、価格交渉に息詰まっていた時に、自治体病院共済会の方に勧められ、ベンチマークシステムの活用講座に参加したことがきっかけでMRP社のベンチマークシステムを導入しました。
MRP社のベンチマークシステムは、参加病院数も650施設(平成28年11月1日調べ)と多く、データ更新頻度も毎日と高いので、リアルタイムで価格情報がわかり、とても利用価値が高いと感じています。
さらに、ユーザー会もあり、実際に使用している他病院と顔を合わせて話をする機会が持てるため、以前はメーカーや納入業者から一方的に情報をもらうだけでしたが、今では同じ立場同士の有意義な情報交換を行うことができています。
- 取り組みの内容
当院の削減効果
下記の円グラフAが導入後1年間の削減効果になります。
導入当初、平均より安く購入できている物品(A判定)が約37%だったものが、1年間で約55%まで増えました。また、平均より高く購入していたもの(C判定)が約38%もありましたが、約20%まで減らすことができました。
どのように削減を行ったかというと、この1年間で3回の価格交渉を行いました。価格交渉の方法は次の通りです。
先ず1回目の価格交渉では、全品目に対して当院の希望価格を入れて見積り合わせを行いました。希望価格はベンチマークシステムを基にした平均金額(B判定)、もしくは、平均金額より安く買えているものに関してはそれより少し安い金額(A判定)を記載しました。その結果が下記の円グラフBになります。全体的に削減ができたと思います。
次に2回目の価格交渉では、平均より高い物品(C・D判定)に絞り価格交渉を行いました。納入業者、メーカーに当院への納入価格は平均価格より高いことを十分に伝え、とりあえず平均価格(B判定)に合わせるよう要望しました。実際にMRPのベンチマークグラフを見せて交渉を行いましたが、結果的には全部が全部平均値にはなりませんでした。
最後に3回目の価格交渉では、2回目に価格交渉したにも拘らず下がらなかった物品に対して、同等品のサンプリングや同等品への切換えを行いました。この際、あらかじめ仲間の病院で実際に使用している物品等の情報を得ることができましたので、現場の医師・スタッフに「これは○○病院で使用しているもので、当院で使用している現行品より安くなるので使用してください」とお願いすると、「○○病院で使用しているなら試してみよう、大丈夫だね」という意見をいただき、スムーズにサンプリングや切換えが行えました。
このようにしてサンプリングを行うと、メーカーも慌てて値段を出してきました。ここから更に粘り強く、出してきた値段に対して再交渉したり、そのメーカーで当院に納めている他の物品の価格交渉を行ったり、サンプリングを行った物品に切換えたりして、大きな成果を出すことができました。
- 取り組み後の状況
今後の取り組み
3回の交渉で1番効果が大きかった、同等品のサンプリングを今後も継続していきます。その際に、現場に丸投げするのではなく、自分でも同等品の情報をしっかり収集し、その製品の特性を十分に把握して現場に伝えるようにしたいと思います。情報収集に当たっては、情報をただ収集するのではなく、自分で判断して、マッチする情報をしっかり把握し活用できればと思います。そして、納入業者、メーカーとも、ベンチマークの価格や物品の特性を踏まえた上で、適正価格で交渉できるようにするつもりです。
最後に
価格交渉は、決して一方的に値段を下げてもらえばよいというものではなく、売る側と買う側の双方が納得した上、いかに値段を下げるかということが前提だと思います。特に地方の病院は、値段でないところで納入業者に助けられていることが多いので、常に相手を尊重する姿勢を持ち、適正価格での価格交渉に取り組むべきだと考えます。それが長い目で見て結果につながると思います。
※本稿は、平成29年2月15日に自治体病院共済会より発行された「自治共ニュース2月号」に掲載された内容を、医療手帖編集部で再編集したものです。
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