支出削減の取り組みについて (東松山市立市民病院・100-200床未満)
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支出削減の取り組みについて
医療機関名 |
東松山市立市民病院 |
経営主体 |
国公立病院 |
病床規模 |
100-200床未満 |
所属部門 |
用度・調達 |
投稿者 |
元田 貴志 |
公開日 |
2016-10-06 |
- 背景
関東地方の中央に位置する埼玉県。その真ん中にあるのが東松山市です。
比企丘陵の豊かな緑に囲まれながら、都心まで電車で約1時間という便利さも併せ持っています。また、2015年にノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章博士のふるさとでもあります。
本院は114床の急性期病院で本市はもとより、周辺の市町村からも多くの患者が来院しています。年間の救急患者受入件数は約900件で手術件数も約700件を数えます。
また、近隣には大学病院もあるなかで、職員一人ひとりが地域に対して果たす役割を意識しながら日々の医療に取り組んでいます。
- 取り組みの内容
業者からの提案の提出先を事務担当者に一元化
私が市民病院に異動した当初は、院内の各部署に納入業者やメーカーが出入りしており、
各部署に直接様々な提案をしていました。
業者からの提案に基づき、各部署で良いと判断した材料のみが診療材料検討委員会へ提出されていたため、
各部署から委員会への提出は数点程度で削減効果もあまり大きくはありませんでした。
各部署では、日々の業務の中で業者の提案を全て拾い上げることが難しいとの意見もあり、
業者からの材料の提案についての窓口を事務方に一本化し、
期間についても2か月程度設けた上で、基本的には事務を通じて提案を受け付けるよう改善を行いました。
毎年度、品目数に対して20%程度の同種同効品の変更案が提出されています。
提出された提案は、委員会への提出前にMRPベンチマークシステムで削減効果等の検証を行い、委員会で効果があると判断されたものについて、サンプリングを行い、その材料が既存品と交換可能となった場合、その後の見積競争における変更可能品として価格競争を行っています。
当院の業者提案から採用までの業務フローは左図のとおりです。
- 取り組み後の状況
改善の効果
業者からの見積を集める際に、ベンチマークを使用した希望価格を提示することはもちろんですが、
当院が小規模であるため、使用量等が少なく、希望価格には応じられないとの回答も多くあります。
希望価格に届かない材料については変更も考慮したいところですが、現場の意見もあり、
実際には難しい状況も多々あります。
その際にはメーカーと定期的に交渉を行うようにしており、医師からのサポートを依頼した上で、
メーカー等と交渉しています。現場の意見をあまり考慮せずに交渉を行うことは考えていません。
あくまでも現場の意向に寄り添いながら材料価格の引き下げが行われるように配慮しています。
また、業者との関係づくりは重要で、納入業者またはメーカーの担当者変更時などは
積極的な提案を求めていることを伝え、当院に対し、前向きに関わってもらえるような状況を整えることは大切です。
小規模であるため、業者にとってもあまり利益のでる病院ではないと思いますので、
関係づくりには特に気を使っています。
削減効果と今後の対策
当院の年間の購入額2億円程度に対して、ベンチマークを導入後約700万円の支出削減を行うことができました。
ベンチマークも様々な病院で利用されるようになってきている中で、その効果も一定期間を過ぎると、あまり感じられなくなるのではないかと危惧しています。
交渉方法等は同じ取組を繰り返すことで、どうしてもお互いに慣れが生じます。価格交渉においては、数年間で手法を変え、常に新たな取組を行っていくことが必要だと考えています。共同購入もその一つであるとは思います。
規模の大きな病院は使用量も多くあることで、有利な交渉を行えるかと思われますが、当院のような小規模の病院においては、そうはいきません。
今後は担当者等を自院に呼んで交渉を行うのではなく、病院側の担当者が、『病院の営業マン』として、納入業者やメーカーを訪問し、決定権者等と直接交渉を行うことなども必要になってくるのではないかと感じています。
※本稿は、平成28年10月15日に自治体病院共済会より発行された「自治共ニュース10月号」に掲載された内容を、
医療手帖編集部で再編集したものです。
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- 東松山市立市民病院
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