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医療材料のコスト削減、及び管理方法の改善の取り組み (半田市立半田病院・300-500床未満)

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医療機関名 半田市立半田病院
経営主体 国公立病院
病床規模 300-500床未満
所属部門 用度・調達
投稿者 都築 靖(管理課主幹)
公開日 2012-11-30
背景
■ 価格交渉を始めた経緯
 当院の経営改善を議会から求められ赤字を何とかしないといけない状況であったが、同じ知多半島にある病院からベンチマークシステムの紹介を受けた。
 コンサルの話を聞いた当初は胡散臭いと思っていたが、他施設での成果の事例は魅力的であり、藁をもつかむ気持ちで契約した。
 結果的にV 字改善することができた。その対策のひとつとして、材料価格の引き下げがあった。

<平成22から24年度の交渉状況>
■ 22年度:交渉前分析状況 ・一番最初に当院の価格状況について現状分析を行ったところ、購入金額上位4品目の全てが平均価格よりも高い状況であった。
 ・特定の納入業者がシェアを半分以上を占めている寡占状態であった。
 ・納入業者の言い値で買わされる状況だった。
取り組みの内容
■ 交渉方法論
<ベンチマークを導入>
 1)ベンチマークから1 品目毎に今回の希望価格を設定する。
 2)業者へ一斉見積依頼後に個別交渉を行う。
 3)同一物品のみを採用して置き換えしない。
 このツールは画期的なものであり、一品毎に価格を設定することで目標をはっきりとさせることが出来るので、目標設定の基に動くことが出来た。
■ 病院内の環境づくり→事務がやりやすい環境が、交渉が出来るコツ
 1) 院内説明会の開催
  当院の現状の価格ポジションを明らかにして、価格引下げが可能であること、価格引下げの必要性について経営者や幹部の理解を得る。
 2)業者説明会の開催
  現状を把握することで何をすべきかが見え、協力体制が生まれた。
 以上の取組みによって、交渉において重要である、病院が一丸となって全体で取り組んでいる姿勢を見せることができた。そして、病院の機運が高まってきた。
■ 22年度:ベンチマーク交渉の成果・問題点
<成果>
 第一期(22 年度の償還改定前のベンチマーク交渉で診療材料全体を対象とした通常値引き交渉)と第二期(改定後の成果)を合わせ、全体として、▲約5260 万円(▲9.1%)削減できた。
<問題点>
 ・No.1 業者の抵抗にあった。そこで、協力出来ない業者から買う必要はないということで、「業者を替えろ」との機運が盛り上がる。メーカー20 社に業者変更を打診して次年度以降の対策として言質をとった。
■ 24年度:価格交渉業務について→災害対策の費用を捻出する意味でのコスト削減。
<病院をあげての取り組み>
 業者と敵対して価格を引き下げるのではなく、納入業者を「病院のパートナー」として考えるようになる。そこから、病院と一緒になって目標達成するという姿勢に変わっていった。
取り組み後の状況
■ 価格交渉の成果とポイント
<成果>
 第1 期単体では、▲約2700 万円(▲2.8%)削減
 第2 期(償還材料のみ)には、▲約5400万円(▲8.5%)削減

<ポイント>
 ・目的と方法論の明確化
  はっきりとした取り決めがないとあやふやになり、業者の言いなりになってしまう傾向がある。第一期では業者の選定と価格の引き下げを中心に、第二期では償還改定後の償還価格に合わせた購入価格を交渉するという目的と方法論を明確に取り決めた。
 ・問題業者への対応:交渉経験の豊富な職員を投入し、特に注意する。
 ・ベンチマークは相対評価であり、ポジションを維持するために交渉は継続して行う。
 ・償還改定時はメーカーを呼んで引き下げを要請する。
 ・見積提出毎に達成度合いを見ながら業者およびメーカーと面談を行う。
 ・特定の業者に対して共同交渉を実施。病院相互が協力しているという事実で交渉は格段に有利に働いた。


※本記事は、2012年11月30日(金)に開催された「第7回MRPユーザーサポート講習会」で発表された事例を
 医療手帖編集部で再編集したものです。

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