病院の課題解決につながる「医療関連企業」が見つかる情報サイト

MAVISMEPオンライン企業展示会

医薬品の現状と25年度の価格決定に向けての取組み結果 (がん研究会有明病院・500床以上)

WEB展示会TOP > 事例を探す > 医薬品の現状と25年度の価格決定に向けての取組み結果

医療機関名 がん研究会有明病院
経営主体 特定機能病院
病床規模 500床以上
所属部門 用度・調達
投稿者 松井 真一(購買・施設課 係長)
公開日 2014-07-07
背景
 コスト全体からみた医薬品割合であるが、全支出の約250億円/年(平成25年度)のうち、約100億円が材料費である。材料費のうち約73億円が医薬品費であり、医薬品費だけで全支出の30%を占める。また、2年ごとの診療報酬改定では薬価は下がっていくのに対し、当院では使用量と購入額が増えているのが現状である。
 その理由は患者数増加もさることながら、病院の性質上、新しく発売される高額な抗がん剤や分子標的薬などを使うことが挙げられる。
取り組みの内容
 医薬品価格決定までの院内プロセスについて、まずワーキンググループを立ち上げる。構成メンバーは経営本部副部長、薬剤部長、財務部長、調達部課長などであるが、ジェネリック切替検討時には医者もメンバーに加えるなど、目的により適宜メンバー構成を変更する。
 次に、これから検討しようとする内容(交渉内容・交渉メンバー・スケジュールなど)について、病院運営会議に上申する。病院運営会議は病院運営にかかる事案の決定機関であり、病院長・副院長・病院幹部・経営本部幹部から構成される。ここでの承認を受けてから、検討内容を固めていく。
 検討内容が固まると、その結果について病院運営会議で承認を受ける。その後、1,000万円以上の事案の場合は経営会議に、3億円以上の事案の場合は理事会に上申し承認を受ける。したがって、70億/年の医薬品価格が決定するまでには期間を要する。
 価格交渉・削減の取り組みについて交渉メンバーは経営本部副本部長、薬剤部長、財務部長、調達部課長など。医薬品は支出で人件費に次ぐ大きな案件のため、経営幹部を交えた交渉が効果的である。
 卸の取引先縮小やシェア変更について、当初は取引先の縮小を行う予定だったが、25年度はシェア変更を実施した。変更直後は暫定価格・値引率が僅かに悪化したが、年度末の決定時点には持ち直した。短期的で見ると経済的効果は得られなかったが、交渉に対する病院の姿勢は交渉先に対して十分見せることができ、そういった意味では効果的な施策である。
 メーカーと直接交渉については、主要なメーカーに来院していただき、購入量やベンチマークによる価格をもとに交渉を実施した。結果として値引率の悪い品目の一部見直しはされたが、大きな効果は得られなかった。その理由としては国の政策によってメーカーが守られているためであると感じた。(新薬創出加算や公正取引委員会)
 後発品への切り替えについて、当院は切替判断を「収支」によって検証し、効果があると判断したものを切り替えている。重要なのは、後発品にすることでどのくらいの経済的効果があるのか、または先発品を使用した方が良いのかどうかを「可視化」することである。
取り組み後の状況
 結果、後発品切替による効果(75品目)が約3,000万円、先発品値下げによる効果(8品目)が約4,000万円で、合計で年間約7,000万円もの収益増となった。
 また、後発品採用比率が数量ベースで60%以上だと、最大で0.01544の機能評価係数が得られる。当院では後発品係数(0.01544)により診療報酬が約8,000万円増加した。これも病院収支に直結する数値であり、貢献額として考えることが出来る。但し、後発品は日に日に品目数が増える為、放置していると後発品採用比率は自然と下がっていく。つまり採用比率を維持するためには、継続的に後発品切替を実施しなければならないことに注意が必要である。
 当院の医薬品分析について、当院では新薬創出加算品と特許品で医薬品全体の70%を占める(抗がん剤が多い)。これらは国が新薬創出の為に公定価格が守られているため、値引きの難しい品目が全医薬品の多数を占めている事になる。入外使用比率は外来が75%を占めており、またほとんどを院内で処方している。
 経営幹部が会議で購入価格の決裁を求めても、現状の購入価格が高いのか安いのか分からなければ、説得力を持たせることは出来ない。そこでMRPベンチマークシステムの「加重化ベンチマーク機能」を用い、現状の価格帯が他施設と比べてどの位置にあるのかを可視化した上で説明している。
 ※MRPベンチマークシステム:全国の医療機関の医療材料・医薬品・検査用試薬の取引価格をインターネット上で照会・比較(市場調査)できるシステム。
 26年度の交渉スケジュールとして、未妥結減算制度の適用を受け、妥結率が5割以下のペナルティーを試算すると、初診料が▲1,603,080点、外来診療料が▲7,097,716点で、合計▲8,700,796点の減収になる。
当院ではこれを避ける為、9月末に価格決定する交渉スケジュールを組んでいる。
 当院ではコスト削減だけを目的としているわけではなく、コスト削減を通じて安定した経営基盤を確立し、最先端の医療機器・医薬品・医療材料への投資を行うことによって、より高質な医療を患者様へ提供することを全体の目的とし、日々の業務及び経営改善に励んでいる。

こんな事例もあります

テーマと関連する企業・商品

株式会社エム・アール・ピー(MRP)
医療経営の合理化に向けて、SPDシステムを基幹にした、総合ソリューションを提供

所在地:大阪市淀川区宮原3-4-30 ニッセイ新大阪ビル15階
TEL:06-6398-0561

提供サービス
  • MRPベンチマークシステム(医療材料・医薬品システム)
  • 信頼の医療材料マスタ「MRP商品マスタ提供システム」
  • MRPベンチマークシステム(機器・備品システム)



<< 前のページ 1 2 3 4 5 6 7 8 9