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支出削減の取り組み (地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院・500床以上)

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医療機関名 地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院
経営主体 国公立病院
病床規模 500床以上
所属部門 用度・調達
投稿者 山元 健史(管理課物流係 副主査)
公開日 2018-05-21
背景
静岡県立総合病院の概要
●所在地
〒420-8527 静岡県静岡市葵区北安東四丁目27番1号
●病床数
712床(一般病床: 662床、結核病床:50床)
●診療科目
内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科(胃腸内科)、腎臓内科、神経内科、糖尿病内科(代謝内科)、血液内科、皮膚科、小児科、精神科、心療内科、外科、呼吸器外科、循環器外科(心臓・血管外科)、乳腺外科、泌尿器科、脳神経外科、整形外科、形成外科、眼科、耳鼻いんこう科、産婦人科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、病理診断科、救急科、歯科口腔外科( 29科)

当院は、昭和58年に県立中央病院と県立富士見病院を統合し、新たに静岡県立総合病院として開設された。平成21年には地方独立行政法人となり現在に至っている。
平成25年当初、総工費150億円にも上る先端医学棟建築も目前となる中、当院では年々高騰する材料費が大きな課題となっており、高コスト体質の是正が病院における火急の課題と位置付けられ、人員も替わって病院を挙げての購買コスト削減活動が始まった。
取り組みの内容
1.医療材料価格の状況把握と価格交渉
◆医療材料価格の状況把握
当時は、コストを如何に下げるかを検討する以前に、まず「自分たちの購入価格が割高であるのかどうか」、「(割高であることは何となく想像がつくものの、)他の一般的な病院と比べてどれくらい割高で、コスト削減活動をするにしても、どこにゴールを持っていけばいいのか」も、見当がつかない状況であった。

そこで、MRPベンチマークシステムを導入したところ、各商品単位での一般的な価格帯や、価格交渉における下限金額を把握できるようになった。

また、業者やメーカー、商品群分類ごとにエクセル集計したり、年間使用数量を加味することで、弱点である分野や、各業者ごとの価格交渉成果目標金額を個別に設定しながら、価格交渉における優先順位やスケジュールを定めていった。

こうした客観的手法により設定した希望価格は、どの業者から問われても答えられる、公平で明白な根拠となった。
このように、価格交渉において業者にも納得していただきつつも当院が享受できる最低価格を示すため、特に「目標金額の設定」については力を注いだ。


◆価格交渉
交渉手法も、各業者が当院で取り扱っている全品目(全予算)を視野に入れて各社に協力を求めるアプローチと、当院が弱点としている商品・メーカーの製品に絞って個別に面談もし、切り替えも辞さない姿勢で交渉に取り組む手法とを織り交ぜ、自分たちで最初に定めた「目標金額」に到達するよう逆算しながら最善の手を打つスタイルを確立させていった。

また2年に一度の保険改定の年は、率スライドを念頭にした交渉が肝要である。
診療報酬価格が定価になることが多い特定医療材料については、定価が値下がりする中、納入価格がそれに連動しなければ、せっかく価格交渉にて得た割引率が崩れるので、改定時期だけでなく、目標達成するまでしつこくトレースをしていった。

2.手術キットの自由化
特定の手術キットメーカーの手術室分析サービスを採用していたため、手術キットも長年にわたり1社独占となり、値段が高止まりし、他社製品を使用したい診療科があっても使用できない閉塞状況にもあった。
これを打開するため、分析業務と手術キットを切離すことを検討し、他メーカー2社のサンプリングを全キットにおいて実施した。

3.預託材料の見直し
高額材料や複数規格ある材料は、期限切れのリスクを避けるため預託化することが一般的である。
当院においても期限切れリスクの回避と在庫削減の効果もあり、預託化しているものが多数ある。
しかし、中には卸業者が同じであったり、分類が一緒という理由だけで、回転率が良いものまで預託化になっていた。
これらを見直し、買取りにして病院在庫にすることで単価を下げることができた。
取り組み後の状況
改善の効果
■材料委員会でもベンチマークは活用し、新規申請品に対して採用判断の材料とした。
■価格交渉では、材料の切り替えも含め、外科や循環器内科、心臓血管外科、整形外科、その他汎用品を中心に4年間で1億6千万円の削減ができた。
 また手術キットについても、データ分析業務のしがらみが外れたことによる複数メーカーの競争により、既存メーカーが一番価格を下げるという望外の成果を得られることになった(全体の3割は別メーカーに切り替え)。

**金額は前年度と比べ年間で6千3百万円の削減ができた。**


活動の中で大事にしていること
◆支出削減の活動で何より大事にしていることは、院内が一枚岩で連動していることである。
◆交渉前は現状をしっかり説明して、医師・看護師・技師といった現場の方々とシナリオ、ゴールを共有する。
◆院内活動で行き詰った時は、病院幹部に相談し、背中を押してもらう。
◆実は院外交渉より院内調整が本当のポイントと考える。
◆結果が出た後の動きも大事で、断ってもペナルティが無ければ誰も従わない。
 病院経営のために協力した現場や業者もメリットが無ければ意欲を低下させてしまう。
◆業者もメーカーも大切なパートナーであり、特に当院に協力してくださる方々に対して、病院がしっかりと報いるだけの仕組みを作ることは信頼関係構築のためにも重要である。
◆課題・戦略・実行・評価の取組内容を明確にし、文化や体制が出来上がることで、低コスト体質が院内に浸透するものと確信している。

最後に
他病院の購買担当者ともよく意見交換を行っている。
病院によって特色は様々だが、課題や戦略など、そこから得られる情報は自分たちの次なる発想へのインスピレーションとなる。
交渉できる材料の範囲も狭くなってきたため、共同購入への参加も始めた。
支出削減の次なるステージに向けて動き出したところだ。


※本稿は、平成30年5月15日に自治体病院共済会より発行された「自治共ニュース5月号」に掲載された内容を、医療手帖編集部で再編集したものです。

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