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医療材料一括調達の試み (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター・500床以上)

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医療機関名 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
経営主体 特定機能病院
病床規模 500床以上
所属部門 用度・調達
投稿者 森下 岳志(総務課調達企画室 契約係長)
公開日 2016-02-01
背景
医療材料の適正価格での購入に向けて「入札前交渉」、「一括調達業務導入」の取り組みについて紹介する。
取り組みの内容
入札前交渉について
1)入札前の取り組み
 入札前に「参考見積調査」を実施し、各業者それぞれの「参考見積価格」と
 「他施設標準価格(MRP社のベンチマークシステムの平均価格を参考)」を提示し、
 院内の目標を明らかにした上で入札前の交渉に当たった。
 また、入札時の予定価についても、上記の「参考見積価格」と「他施設標準価格」を照らし合わせて設定を行った。

2)交渉スケジュール
 入札実施までの準備期間を4ヶ月間とり、その間に業者への参考見積調査を2度実施した。



3)取り組み結果
 平成26年度の入札結果では、入札前の交渉を行っていない平成25年度と比較し、
 平均価格より高い単価で購入した品目割合が下がり、平均価格及び平均より低い単価で購入した品目割合が増加し、
 大幅なコスト削減につながった。
一括調達業務導入について
1)購入価格について現状の把握
 平成26年度に入札実施したが、入札品以外を含めた医療材料全体の購入価格については不明であったため
 再度、MRPベンチマークシステムによる価格の現状分析を行った。
 その結果、平均より高く購入している品目が4割程度あることが分かった。
 また、「OP材やカテ等の専門品」、「入札品以外(新規品や随意契約品)」については、
 高値で購入している品目が多かった。

2)医療材料一括調達業務の検討
 価格交渉に向けて、「材料委員会でのコスト面の審議」や「随契価格を把握した交渉」、
 「コストに関する現場へのフィードバック」等の対策案があがったが、3~4年の人事異動がある体制の中で、
 これらの対策の実施は困難であるため、「卸業者一社からの一括購入」を検討した。

 【一業者からの一括購買のメリット】
 ①契約時に業者と削減目標を取り交わすため、業者より価格削減、同種安価品の提案を受けることができる。
 ②提出される請求書が一社にまとめられるため、センター(病院)側の業務が軽減される。
(価格交渉へ注力できる)
 ③「預託品」や「新規材料」や「試供品」等についても一業者が管理・コントロールを行うため、連携がとり易い。
 ④一括業者により、品目の切替が容易にできる。

3)医療材料一括調達業務の導入
 一括購買の方式として、「購買型SPD」と「購買のみ」を比較検討した。
 「購買型SPD」は導入後の業者変更のハードルが高いため、
 業者の変更が容易な「購買のみ」を一括で行う方式を導入することになった。
 業者選定時の競争を発生させ、契約後の価格交渉も積極的な取り組むを促すため、
 「毎月の効果検証の方法」や「新規採用品、償還改訂時の納入価格のルール設定」等、
 一括購買導入における詳細な取り決めを仕様書に記載した。

4)一括購買導入スケジュール
 構想から導入まで1年5ヶ月を要し、その間に各社に対するヒアリングを2度実施した。



5)業者決定から導入までの流れ
 公募型企画競争の結果、センター消耗品のシェアが10%未満であった会社に決定した。
 決め手は削減の約束値引率である。
 業者決定後は、「現場への周知や挨拶周り」、「卸業者への説明会・メーカーへの通知」、
 「発注、納品、検品の方法の取り決め」、「緊急品、預託品に関する取り扱いルールの決定」等を行った。
 ※削減効果を出す上では、「基準単価」と「検証方法」を決めておくことが重要。

6)医療材料一括調達業務導入の結果
 一括購入により、購入単価には大きな差が表れた。
 開始後2ヶ月で平均価格及び平均より高い単価で購入した品目割合は下がり、
 平均価格より高い単価で購入した品目は4割強増加し、大幅なコスト削減につながった。
取り組み後の状況
医療材料一括購買実施における注意点
1)新規品の「基準単価」の設定
 新規品はMRPベンチマークシステムを利用するなどして、病院側で「基準単価」を設定すること。

2)モニタリングの実施
 業者任せにしているとミスに誰も気付かず損失に繋がるため、「モニタリング」の実施をルール化しておく。

3)病院側の協力
 業務全体を業者に一任するのではなく、病院全体が協力する体制を構築するため、
 事務部門は積極的に診療部門に働きかけを行う。
今後の交渉に向けた取り組み
1)「医療材料費等コスト削減ワーキンググループ」の実施
 事務部だけでなく、医師、看護部等の診療部門と協力し、病院が一体となりコスト削減を検討していく。

2)大学病院との意見交換の定期開催
 医療材料費削減の情報を得るため、国立病院の枠を越えて他病院とも意見交換をしていく。

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国立研究開発法人 国立国際医療研究センター


※本稿は、平成27年10月2日に開催された第69回国立病院総合医学会にて講演された内容を、
 医療手帖取材班でまとめたものです。

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