手術室CE 業務の現状と対策 (国立研究開発法人 国立国際医療研究センター・500床以上)
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手術室CE 業務の現状と対策
医療機関名 |
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター |
経営主体 |
特定機能病院 |
病床規模 |
500床以上 |
所属部門 |
臨床工学 |
投稿者 |
小川 竜徳(医療安全管理部門 臨床工学) |
公開日 |
2015-04-08 |
- 背景
- 近年、医療の高度専門化にともない医療機器の多様化・高機能化が著しくなっており、特に手術室においてその傾向はより顕著になっています。
また、手術件数は年々増加しています。このため臨床工学技士(CE)は機器の操作や保守管理等の手術室内での業務立ち上げのため、2012年11月より常駐をはじめました。
今回の調査の目的ですが、常駐開始から現在までの手術室内CE業務に対し後ろ向きに件数や事例の調査を行い、その傾向や対策を検討しましたので報告します。
- 取り組みの内容
- 後ろ向き調査は、データベースソフトのファイルメーカーProで作成した業務日報と修理実績より対応した事例を調査しました。
調査対象については、2012年11月から2014年4月までのうち、診療補助業務として人工心肺、温熱化学療法、自己血回収への対応、機器管理業務として電気手術器や麻酔器、内視鏡関連装置などの日常および定期点検、不具合の一次対応など業務内容に応じて区分けし調査しました。
その結果、診療補助業務では人工心肺が全体の64%となり合計が74件でした。次いで温熱化学療法の21件となっていて、ここ半年では高度先進医療の認可もあり、増加傾向となっています。
機器管理業務では、内視鏡関連装置、除細動器、血液ガス分析装置、の日常点検が64%で1764件でした。また不具合の一時対応は24%で618件ほどありました。合計2572件のうち修理が必要な事例は32件でした。
機器管理業務の月別詳細を見ると、日常点検は2013年半ばより対象機器が追加となり、件数が増加しました。不具合一次対応は徐々に増加傾向となり、内訳として修理が不要である事例が大半を占めていました。
次にメーカ修理の推移ですが、件数は年々少しづつ減少しています。ただし2013年では映像機器への対応が追加となった事により、内視鏡関連の修理は増加しています。
なお、その他の項目には患者加温器やフットマッサージ、生体情報モニターなどの機器が含まれています。
- 取り組み後の状況
- 現状では、人工心肺使用の開心術では年平均50件、自己血回収は年平均10件となっていて他施設と比較し少数であることから、心臓外科医や麻酔科医、看護師の関連スタッフと共同で手術シミュレーションやトラブルシューティング等の教育訓練を行うことが望ましいと考えられました。
機器管理業務のうち、一次対応の中で件数が多い事例は以下の通りです。
1. 内視鏡手術記録映像が出ない・・・・53件※内メーカー修理5件
2. 内視鏡手術記録用プリンターが使用できない・・・・30件※内メーカー修理2件
3. 電気メスが使用できない・・・・17件※内メーカー修理4件
その原因として多いのが電源が入っていないことやケーブルが接続されていない、スイッチの切り替え忘れなどの対応容易な事例でした。
事例発生時に解決法や対策法を伝えてはいますが、伝達不十分のためか事例が再発していると考えられます。
対策として
1. 月末に手術室管理者へ業務報告書を提出し、問題事例を伝達してもらう。
2. 講習会の開催を実施する。
まとめ
1. 症例数の関係上、医師および看護師を含めたチームでの教育訓練が望ましいと考えられました。
2. 従来、業者へ点検依頼をしていた幾つかの事例に おいて、その場で対応出来た事によりコスト面と機器運用面(ダウンタイム減)で有利になったと考えられました。
3. 臨床工学技士以外の手術室スタッフによる機器へ接する機会が減少し、対応能力の低下が懸念されます。
4. 今後は講義だけでなくハンズオン等の実習も含め 計画的かつ効果的なME機器講習が必要だと考えられました。
手術室内CE業務に対し後ろ向き調査を行い、講習会の必要性や多職種との情報共有に改善の余地が認められましたが、診療補助・機器管理業務とも増加傾向にある手術へ介入する事により、一定の安全に貢献できると考えられました。
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