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パンデミック(感染症)が発生したときの事務方の役割  -基礎知識編- (日本赤十字社 前橋赤十字病院・500床以上)

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医療機関名 日本赤十字社 前橋赤十字病院
経営主体 公的病院
病床規模 500床以上
所属部門 看護
投稿者 大澤 忠(感染対策室 認定看護師)
公開日 2015-01-30
背景
パンデミックとは、「ある感染症が世界的に流行している状況」を指す。つまり、世界の複数の地域で、同時期に感染症が流行している状況のことをいう。
パンデミックが生じた際における事務方の役割は、大きく3つに分けることができる。第一に、事前に準備しておいたことを実践すること。特に事務方は他職種(院内・外問わず)との連絡・調整が大きなウェイトを占めることになる。第二に、状況変化に対応する為に変更・調整を行うこと。パンデミック時は刻々と状況が変化していくため、状況に応じた変更・調整役が必要不可欠となる。そして最後に、それらの活動記録を残しておくことが、以降のパンデミック時のスムーズな対応につながる。
取り組みの内容
まず、パンデミック発生前に予め把握しておくべき事項として、【勤務可能なスタッフ数】及び【施設の機能維持のための業務】の2点がある。前者は、乳・幼児・児童のいるスタッフ数と、パンデミック感染症の臨床的特徴を予め把握しておくことであり、後者はパンデミック時における施設の機能維持に必要な業務を把握し、「通常業務担当者」と「パンデミック担当者」を決めておくことである。
次に、臨床現場では「持ち込まない」「拡げない」「作らない」という3つの原則があるが、これを達成する為には【情報・物・人・金】といった基本資源が必要であり、これを管理するのが事務職の役割となる。また、「現場職」と「管理職」の間を取り持つ役割を果たすことも、同様に重要である。
施設管理的には、まず外部から「持ち込ま(せ)ない」ことが重要であり、パンデミック時は患者の信用力を落とさないように配慮しつつ感染源を持ち込ませないよう上手に誘導しなくてはならない。また施設内では職員の意欲を削がないように配慮しつつ、感染源を「拡げない」「作らない」よう上手にサポートする必要がある。パンデミック後の施設経営正常化への近道は“上手に”行うことである。
臨床現場的な考えでは、一般社会でいう【職員・研修生・ボランティア・業者・養護学校職員・施設利用者・面会者】からの持ち込み、施設現場でいう【職員・施設利用者・医療/看護行為・療養環境】の間の持ち込み・感染拡大を防止するという観点から、対策を考えることになる。
その他、電話による問合せの増加や持ち込み発覚時の対応など、予測できる状況を想定し、対策を立てておく必要がある。また、“知らない・聞いていない騒動”を防止する為、パンデミック感染症の受け入れ態勢(いつ、どこで、誰が、どのような防護具を用いて診察・検査・入院治療を行うのか)を決めておく。加えて、パンデミック時には、優秀なスタッフがなるべく大勢いる事が望まれる。いざという時にスムーズな対応を行う為に、今から人材発掘・後進育成を行っておくことが重要である。
また、パンデミック時には患者数が減少する、材料費が増加することに留意しつつ、物品管理(保管場所・種類・在庫数・有効期限等)、及び物品選定を行う。その他、施設内に立ち入り禁止区域を設定する(代替案の提示が必要なこともある)、社会的に大きく報道されていたり、多数の感染事例・死亡事例、院内感染が生じている場合の記者会見に備えておくといった対策が考えられる。
取り組み後の状況
最後に、実際にパンデミックが生じた際に混乱が生じないよう、自施設のパンデミック感染症マニュアルの中に事務職の活動内容を明記しておくことが必要となる。作成にあたり、『新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画手作りの手引き』(日本医師会ホームページからダウンロード可能)等が参考資料として役立つ。
パンデミックが生じた際に施設としてスムーズな対応を行う為には、実践も含めた事前準備が特に大切である。その中で事務方は、他職種間の調整や広報・物品選定等を行うなど、施設運営の潤滑油のような役割を担うことになる。

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