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小規模病院におけるコスト管理体制改善の取り組み (美濃市立美濃病院・100-200床未満)

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医療機関名 美濃市立美濃病院
経営主体 国公立病院
病床規模 100-200床未満
所属部門 臨床工学
投稿者 市原 時正 (病院管理室・臨床工学技士長)
公開日 2014-03-14
背景
 病院経営におけるコスト管理の重要性は言うまでもありませんが、自治体病院においてはこの重要な部門の運営は本庁からの出向による行政一般職に委ねられているのが現状です。中でも医療材料・医療機器などのコスト管理においては、一定の勤務経験の中でしか養われない現場感覚に基づく専門知識が必要であるにもかかわらず、その業務を短期間で異動する行政一般職が担当しているという組織構造が問題となります。
 当院ではその問題に対し平成22年度より行政一般職と医療技術職員(臨床工学技士)が共同してコスト管理業務に取り組む体制を導入しました。また平成24年4月からは、MRPベンチマークシステムを導入し医療材料費削減に取り組んでいます。
取り組みの内容
医療材料購入への取り組みとして、平成24年度よりMRPベンチマークシステムを導入しました。そして、ベンチマーク結果を基に平均より高くかつ購入額の多い医療材料から順に価格交渉を進め、既存の購入価格と同種同効品への見直しを行うことでコスト削減を図りました。
 なお、当院において見直し効果の高い医療材料は、手術・消化器内視鏡・透析関連であり、特に医師等の理解が不可欠な分野ではありましたが、MRPベンチマークシステムのデータを活用することで見直しの根拠が明確となり、医師等の協力が得やすくなりました。
 医療機器の購入は、導入現場と共同し積極的に話し合うことで、コスト管理を行い右記のように改善が進みました。
 施設管理業務に対しては、看護師、事務職員、病院施設管理会社のエネルギー対策担当者などによる施設管理委員会を設置し、エネルギーコスト削減を行っています。これには現場の協力が不可欠であり継続的な啓発活動と巡回を行っています。
 医療機器保守契約につきましては、多くの装置がフルメンテナンス契約となっていたものを、診療放射線技師・臨床検査技師等の担当者と共同して故障内容と保守料を比較調査し、フルメンテナンスによる効果のないものはスポットメンテナンスに変更しました。なお、メンテナンス費用の価格交渉は毎年行うようにしています。
取り組み後の状況
 医療材料・医療機器のコスト管理業務における担当者の主な役割として、
 (1)職員のコスト管理意識の向上
 (2)適正な機器の選択(品目の絞り込み)
 (3)使用量の最小限化
 (4)購入価格の交渉
 (5)契約業務・会計処理 が挙げられます。
 このうち(4)と(5)は行政一般職が得意とするところですが、(1)から(3)を遂行するためには専門知識と現場感覚が必要です。高額医療機器の更新・保守に至っては、専門知識なしで適正に対応することはほぼ不可能であると言っても過言ではありません。
 病院のコスト管理については事務職員だけでなく、医師、看護師、技師など現場職員も含め病院一体となって取り組むことが重要であり、そのためには使用量調査やベンチマークシステムによる適正価格の把握などエビデンスを示すことが必要であると考えています。

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