検体検査運営の取り組み(自主運営にむけて) (社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会宇都宮病院・500床以上)
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検体検査運営の取り組み(自主運営にむけて)
医療機関名 |
社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会宇都宮病院 |
経営主体 |
公的病院 |
病床規模 |
500床以上 |
所属部門 |
臨床検査 |
投稿者 |
医療技術部 臨床検査技術科 亀和田 均、秋山 晋、齋藤 賢彦 高橋 博文、山川 永寿、小堀 康之 |
公開日 |
2015-07-21 |
- 背景
- 当院は平成8年5月新築した際、検体検査機器に多額の費用が必要な事から、トップダウンで検査センターとの共同運営方式(以下FMS方式)により検体検査(生化学、免疫血清、血液、一般)の運営を行ってきた。
今回、3期目17年間の契約終了と、地下カルテ室跡有効利用検討に伴い、各種運営方式を病院に提案し、自主運営(試薬ディーラーによる機器賃貸借、以下TRL方式)に変更した。
※FMS方式とは?
業者が、自動分析機器と、試薬を一括提供し、あわせてコンピュータや帳票類なども提供、検査実施量に応じて診療報酬を比例配分、または、検査件数による契約単価に応じて、病院から業者に支払う方式(FMS:Facility Management Service)。
※TRL方式とは?
試薬卸売業者から一括して試薬購入、機器リースを行う方式(TRL:Total Rental and Lease system 検査機器試薬リースシステム販売方式)。
- 取り組みの内容
目的と条件
取り組みにあたり、下記の4点を基本構想とした。
1)検体管理加算Ⅵの取得
2)迅速検査に対応
3)24時間止めない検査
4)考える検査室の充実
また、病院からは下記の3点を前提条件とされた。
1)検査技師の増員はしない
2)運営方式変更時に検査を止めない
3)FMS方式運営費用範囲内で実施できる
方法
電子カルテ化に伴い、空いた地下カルテ室跡の有効利用を病院で検討する中で、患者の来ない検体検査を地下に移設し、運営方式を変更した。検体検査跡は病院に提供するといった提案をして承認を得た。具体的な方法は下記の通り。
1)試薬ディーラー3社、試薬メーカー3社、検査センター3社計9社に検体管理加算Ⅵ取得を件に提案・見積もり依頼をした。
提出のあった5社より、導入・運用コストの低減が図れるTRL方式を採用した。
2)物品管理システムを導入し、過剰在庫や発注もれの防止を図った。
3)専任医師の獲得についても経営陣との交渉を並行して実施した。
4)外来及び病棟検査の迅速化のニーズに対応する為に機器の増設、グレードアップを行った。
5)瞬時の停電に対応する為にメインとなる機器には無停電装置を設置した。
- 取り組み後の状況
結果
1)検査を止めずに移設、運営方式を変更する事ができた。
2)専任医師を採用し検体管理加算Ⅵを取得できた。年間約6,000万円の収益増になる予定である。
3)腫瘍マーカー等、従来院内で測定する事が出来なかった項目を導入する事ができ、診察前検査に対応する事が出来た。
4)機器が複数台あることにより結果が迅速に報告でき、メンテナンス、トラブル対応も円滑になった。
5)機器、試薬の採用に各技師の意見も取り入れる事が可能になり、各個人のモチベーションの向上に繋がった。
職員アンケートでも機器、試薬等に関して満足な結果を得た。
課題
コスト面の考慮の重要性が増したため、より効率よい検査の実施、試薬在庫の削減、物品管理システム変更時の登録モレ等が課題である。
結論
長い年月を掛けてFMSから自主運営にする事ができた。
検査室の運営は病院経営を踏まえて考える事は重要であると思われるが、TRL方式はFMS方式とほぼ同額の費用で自主運営方式に変更する事ができ、処理能力や職員の満足度が向上する事から、有用な運営方式であると思われた。
今後、検査技師のモラールの向上や試薬在庫等の改善により一層のコストの低減が課題と思われる。
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