がん研有明病院の紹介と経営改善の取組み (がん研究会有明病院・500床以上)
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がん研有明病院の紹介と経営改善の取組み
医療機関名 |
がん研究会有明病院 |
経営主体 |
特定機能病院 |
病床規模 |
500床以上 |
所属部門 |
その他 |
投稿者 |
櫛山 博(病院本部 副本部長) |
公開日 |
2014-06-20 |
- 背景
- がん研究会の歩みは、1908年、ヨーロッパを中心としたがん研究の国際協力の呼びかけに応じてがん研究会が創設されたことに始まった。1934年にはがん専門の研究所および病院が開設。以後、戦争による中断等があったが、1963年には大塚の地に研究所及び病院を作り、2005年に現在の有明に移転。 2011年に公益財団法人となり、2011年10月に特定機能病院として認定されている。
組織の概要として、評議員会・理事会・経営会議の下に経営本部、病院本部、研究本部があり、病院本部にがん研有明病院が属している。また病院には病院運営会議が最終意思決定機関として設置されている(病院長・副院長・病院幹部・経営本部幹部から構成)。
当院の特徴的な部門として、医療クオリティーマネジメント部門・臨床教育研究部門・臨床試験・研究センターがある。
医療クオリティーマネジメント部門は、医療安全の確保や院内感染の防止といった医療の質を高めることを目的としており、臨床教育研究部門は、他病院と連携し、臨床研修の実施・向上、研修医やレジデントの受入に努めている。また臨床試験・研究センターは、臨床試験部と臨床研究部に分かれており、臨床試験部は治験に係る業務を行い、臨床研究部は臨床研究の支援を行っている。
その他、細胞診断士養成所、健診センターなどの部門が設置されている。
また診療科は、専門診療部門・一般診療部門・中央診療部門に分かれているほか、今年の4月から緩和関係の各部門を一元化し「緩和ケアセンター」として稼動させている。
- 取り組みの内容
- がん研有明病院で行った2年間の経営改革(2009年から2012年)として、有明への移転後、財務的な苦境に陥ったことをきっかけに本格的な経営改革を始動。法人運営体制の見直し、コンプライアンス遵守の徹底、事務局の刷新、財政改善、病院経営コンサルタントの受け入れ等の取り組みを実施した。
特に財政改善については、7対1看護体制の導入、手術件数の増加、稼働率の増加、設備投資の時期・購入価格の見直しなど様々な試みを行った。
また、公益財団法人化にあわせる形で理事長以下経営陣の変更があり、その際、がん研究会では経営戦略本部・経営本部・病院本部の3本部制にすることで、相互牽制作用をはたらかせ権力集中を防ぐ施策を実施した(昨年12月に、各本部におかれていた事務部門を効率化のため経営本部に一元化している)。
その他、経営改革タスクフォースを作り、ゼロワン運動(全員参加型で、トップダウンとボトムアップそれぞれの立場から、現状の問題点や改善方法について協議する活動)を実施。 財務面では月次決算・部門別の原価計算の実施や予算体制を確立し、透明性を高めるための取り組みを実施した。
ステップアップがん研(SG18)の実施(2013年から2018年)として、2018年に向けてより強いがん研有明病院を目指そうという目的の下、収益を最大化するグループ(リーダー:院長)とコストを最小化するグループ(リーダー:副院長)を作り、それぞれの課題の洗出しと具体的な取り組みを始めている。
収益を最大化するグループとして、手術数の増加・効率化(手術室の空き時間短縮・レントゲン待ち時間・診断結果待ち時間の短縮等)、病棟と外来全体の効率化、検査機器の稼動率UP、医療連携(患者紹介の道筋)の推進、国際化の推進等について協議。
コストを最小化するグループとして、超過勤務の削減、業務の効率化(コミュニケーションの促進)、コスト意識の啓蒙、具体的なコスト削減等について協議。また、それぞれのグループで協議した内容は発表と議論の場を設け、都度フィードバックを行っている。
- 取り組み後の状況
- 平均在院日数について、18年度は17日だったのが、現在はおよそ12.1日まで短縮している。併せて新入院患者も増加している。在院日数を短縮しながらも適切な病床稼働率(90%)を維持し続けることが今後の課題となっている。
がん登録者数について、当院では60歳から70歳の患者が多いため、高齢者のがん治療について様々な合併症への対応も含めた治療体制を、これまで以上に強化する必要がある。
医事請求額について、24年度から25年度にかけて微増しているが、これは外来患者への抗がん剤の使用量が増えた為。しかし抗がん剤は値引率が非常に悪い為、実質的な利益としては計上されない。外来患者への化学療法を行えば行うほど赤字になってしまうため、対策が必要である。
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