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中央検査室改革の先に見えるもの (社会福祉法人 恩賜財団 済生会中和病院・300-500床未満)

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医療機関名 社会福祉法人 恩賜財団 済生会中和病院
経営主体 公的病院
病床規模 300-500床未満
所属部門 臨床検査
投稿者 中央検査室
  丸山 香奈、高橋 秀一、三角 由美
  野村  真、森本 有香、刀根 兼一
  吉田 由美、藤谷 昂文、植田 慶喜
  森口 鈴香、中前 夏水、酒井 篤子
  小西 加代子
薬剤部
  野村 泰生
公開日 2015-07-10
背景
意識の変革が求められる中、「変わらなければ」と言う総論は理解できても永年使い続けた思考回路を新しく創り実行するのは容易ではない。今回、技師長交代を機に業務の効率化と同時に医療の質を向上させるために、我々が実践した取り組みの一部について報告する。
取り組みの内容
【検討1】出血時間検査の実施是非に関する検討
2013年1月1日から12月31日までに実施した1,975件の出血時間(BT)検査の結果を集計し、異常値について考察、文献および他施設の状況を調査して実施の是非について検討する。

【検討2】微生物検査の院内実施に関する検討
すべて外部委託検査している微生物検査のうち、血液培養検査の院内実施にむけて導入から実際運営までを検討する。当院では従来、微生物検査は外部委託検査としており、検体提出から結果到着までの時間(TAT:Turn Around Time)によってはその検査結果が治療に対して有効では無かったことが指摘されていた。
取り組み後の状況
【検討1】結果および考察
出血時間(BT)検査1,975件の結果は、5分以内が1,895件(95.9%)、5.5分以上は80例(4.1%)であった。そのうちBT以外にPT・APTT・血小板数が基準値外であったものは8例で、それぞれ診療録より抗凝固薬等の投薬中または肝臓疾患であったことを確認した。 この調査結果と文献考察を加えて医療部会で説明し、外科医、麻酔医の反対もなく術前の採血セット項目から除外することが決定した。必要時は、単項目メニューから選択して依頼するようにしたが、その後の依頼はない。

これまで、出血時間(BT)検査は、止血・凝固担当技師が依頼発生のたびに出向していたため、今回の改善により、1日平均で約1.5時間の節約となり、検査を途中で中断して採血室や病棟へ出張検査しなければならない技師の負担は軽減され、止血・凝固検査報告のスピード化に繋がった。また、時間外緊急検査は1名体制のため、出血時間検査出向による宿・日直者が検査室不在となる状況も解消された。
【検討2】諸問題の解決策
血液培養は、まず血液培養検査について外部委託業者と、陽性ボトルのみ同定および感受性検査の依頼をすることについて話し合い、了解をとった。
院内実施にあたり、時間外緊急検査項目に入れるため、技師全員がグラム染色研修および院外講師を招き鏡検技術の習得を行った。
院内実施開始後、依頼件数は増加し陽性報告も24時間以内が可能になり、TAT( Turn Around Time)は大幅に短縮した。また、清潔操作採血マニュアルを作成し、タイミングの良い時期の看護師による採決を試みたところ陽性率が上昇した。
結論
1.臨床検査技師も経営の視点を持ちながら「質」を担保する意識改革が必要である。
2.医師から要求される内容は多岐にわたり増加する一方である。
  今後も業務内容の見直しや改善を行い、院内貢献や患者サービスに繋げていきたい。

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